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売れるしくみの4ステップ

開催日 2015年6月10日(水)
講 師 3×3JUKE 代表 高田 靖久氏

マーケティングの良書としてよく取り上げられる名著『「1回きりのお客様」を「100回客」に育てなさい!』、『お客様が「減らない」店のつくり方』の著者、高田靖久氏を福井にお迎えして、「売れるしくみの4 ステップ」についてご講演いただきました。
それではレポート形式でご紹介いたします。

売れるしくみの考え方

中小企業の方とお話ししていると、販売促進の捉え方を改めた方がいいのではと思うことがよくあります。なぜかといいますと、多くの方が『販売促進費』=『新規の人を集めること』と考えてしまっているからです。そう いう考えですと、「10万円の販促費用をかけたのに、100人どころか10人しかお客さんが来なかった。すごく残 念。もう販促にお金をかけるのはやめよう」となってしまいます。ものが溢れている時代です。どこのお店も料理はうまいし、どこの美容室もカットもうまいし、どこの店でもクリーニングはうまいのです。そのような中で新規獲得にお金をかけても、昔ほどは期待できません。1回でも利用してもらったお客さまに、いかに繰り返し利用してもらうのかが大事なのです。繰り返し来ていただけるお客さまも含めて「売れるしくみ」があれば、10万円かけて10人しか来なかったとしても「全然オッケー」という思想になります。

ステップ1:新規のお客さまを集める

新規のお客さま獲得といいますと、割引による集客に頼りがちです。でも最近、割引反応が悪くなっているお店も多いし、割り引くと常連さんがよく思わないですよね。1回きりのお客さまが増えている場合は要注意といえます。つまり、「試しにうちのお店を利用してね」という売り方をしたので、試しの割引があるときでしか来ないのです。こうしたお客さまは、お試しで他店から移ってきた浮気客であることが多いわけです。
その一方、割引を好まない人がいます。どうすればその人たちを集められるのでしょうか。
これには「価値観の発信」が鍵になります。その情報で集まったお客さまは、価値観に共鳴したロイヤル顧客になる可能性が高いです。値引で火をつけるのはあまり良い結果をもたらしません。最初に価値観、その後に値引で背中を押すことが大事なのです。
大きな割引をして1回きりの100人のお客さまを集める消費金額と、1人のお客さまが100回買う人の消費金額では、実際に後者が大き いことを我々はデータで掴んでいます。1人のお客さまに長く利用してもらうことが大事だということを念頭に置きましょう。

ステップ2 お客さまを固定客にする

お客さまは平等を扱われて本当に喜んでいるのでしょうか?実はそうではありません。
えこひいきこそが固定客化への近道です。来店3回目くらいに「いつもありがとうございます」と話しかけるだけでも、そのお客さまは「自分のことを気づいてくれる」と喜ぶでしょう。仮に10人の常 連さんしか食べられない裏メニューがあるならば、それを案内するのもいいでしょう。そういう「特別な」サービスを受けたら、必ずうれしくて人にいいたくなります。 しかも常連さん扱いされると、「多くのお金を払わないと」と思ってしまうのです。これを客単価アップといいます。

ステップ3 お客さまを成長させる

この話は、商売の本質的なところになります。わかりやすい例で言いましょう。「すべてのお客さまに同じサービスを!」と考えているチェーン展開のお店に見られるのですが、すべてのお客さまに「当店のご利用は初めてでしょうか?」と毎回同じ接客を繰り返すパターンがあります。たとえ5回目のご利用であってもマニュアルどおり同じセリフが飛んでくるわけです。
しかしながら、「お客さま、いつもありがとうございます。今日は常連さまだけ限定の個室をご用意しています」と特別感を出したらどうでしょう?ここにクチコミが起こってきます。常連さん扱いをされたから、人に言いたくなり、クチコミが起こるのです。さらに、自分は常連扱いをされたと自覚することで、それなりに支払わないといけないという気持ちになり、客単価もアップしてくるのです。私がサポートしている美容室ではこれを実践して、客単価が7,000円から12,000円に上がっています。
これらのことが示しているのは、お客さまのえこひいきは決して悪いことではないということです。ただし、この実践は、感覚的に行うのでなく、しくみを整えて行ってください。しくみで常連さんに成長させるのです。

ステップ4 大事なお客さまを維持する

「大事なお客さまを維持すること」。多くの事業者が一番大事なステップ4になぜ経費を使わないのかが残念でなりません。「常連さんは放っておいてもうちに来てくれるのに、なぜ、お金をかけてDMを打たないといけないの?」と思われるかもしれません。しかし、「大事な常連さんだからこそ経費を使いましょう」ということが私が最も強調したい部分です。
繁盛しているうちは、この部分に気づかないものです。今来てくれているこのお客さまは、一生、来てくれると思ってしまいますから。でもそんなことはないですよね。お客さまを100%維持することは不可能です。
よく考えてみてください。今も昔と同じだけの人数の常連さんがいらっしゃいますか?常連さんも離反するのです。常連さんを1人失うということは、どれだけ新しいお客さんを集めないと補えないのかご存知なのでしょうか?いろいろな計算方法がありますが、我々のデータでは「100人のお客さま」ということになります。考えてみてください。仮に毎年10人ずつ常連さんが離反したり、年間で常連さんの客単価が落ちていたら、それこそ天文学的な数の新規客を集めないといけないことになります。これから人口減で新規獲得も難しくなる、既存客を本当に大事になさってください。
最後に、本日はさまざまなテクニックをお伝えしてきましたが、目先の単発の販促に一喜 一憂するのではなく、売れるしくみをつくりあげることが重要です。 みなさまの気づきになれば幸いです。ありがとうございました。

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